美容に効くと噂の「馬油」とは?使ってみた感想、成分・効果についてまとめました

コスメヘルス内の記事の中にはアフィリエイト等を目的としている記事もございます。本記事においても同様に対価をいただいた上で記事を掲載しています。


皆さんは「馬油」というものをご存知ですか?

美容クリームなどにも使われることがある馬油ですが、
なぜ美容に良いのか分からないまま使っているという方は多いのではないでしょうか?
私も半信半疑な部分があり、本当に馬油が美容に効果的なのか?と思っている節があります。

そこで今回は、馬油が本当に効くのか、実際に使ってみることにしました。
また、馬油がそもそもどんなものなのか、その成分や効果、特徴なども
まとめてご紹介していきましょう。

もし、馬油に興味があって使ってみようと考えている、
馬油がどんなものか知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

「馬油」とは?


そもそも「馬油」がどういったものなのかご存知ですか?

文字から分かるように、馬油は馬から抽出された油脂です。

主に食用の馬を解体する際に、お腹や首にある皮下脂肪を採取し、
火にかけて煮立たせたらろ過し、不純物をなくしたものになります。

馬油は基本的に食用馬を解体する際に一緒に出るものなので、
日本だと生産量がトップクラスの熊本県で多くの馬油が作られています。

この馬油はスキンケア用品はもちろん、他にも石鹸やシャンプーなど、
身近なものに取り入れられています。

馬油の歴史はとても古く、約4000年前まで遡ることができます。

5~6世紀頃、中国に陶弘景(とうこうけい)という医師がいました。
彼は医学者でありながら科学者でもあり、道教茅山派の開祖としても知られています。
そんな多才さを持つ陶弘景の有名な著書「名医別録」の中で、
“馬の油は髪を生ず”という言葉が見つかります。

つまり、すでにこの頃から馬の油は髪の毛に良いということが分かっていたのです。

さらに16世紀頃になると中国の医師・李時珍(り じちん)著書の「本草綱目」では、
“シミやそばかす、肌荒れ、筋肉痙攣に効果的”と記しています。

中国では長きに渡り薬用として馬の油が使われていることが分かります。

日本でいつから馬油が使われるようになったかは詳しい文献がありませんが、
恐らく鑑真が薩摩から奈良に向かっている際に大宰府に立ち寄り、
馬油の高揚を伝えたのではないかと言われています。

その後民間医療として馬油は火傷やケガにも効果的だという噂が流れ始めたのです。

元々は馬の油で知られており、「馬油(ばーゆ、まーゆ)」という名称は
付けられていませんでした。

日本で初めて馬油と呼ばれ始めたのは、昭和に入ってからのことです。

商品として馬油が売り出されたのは、
薬師堂グループの創業者である直江昶氏の経験がキッカケになっています。

直江昶氏は父が経営している油脂機械製造の会社を手伝っていました。

そんな時近隣の農家の人が違う牛馬を飼育する農家に忍び込み、
勝手に馬を捌いているところを見てしまったのです。

直江昶氏は近隣の農家だったということもあり、静かに注意して止めさせました。

するとその農家はお詫びということで馬の脂肪が付いた馬肉を置いていきます。

この時、農家から
「馬肉は食べて、周りの脂肪は火傷を治すのに適している」という話を聞きました。

その数日後、直江昶氏が工場内を歩いていたところ足を躓き転んでしまいます。
直江昶氏は倒れる寸前に近くの窯に手を付き、転ぶのを防ごうとしました。

しかし、運悪く手を付いた窯はちょうど加熱している最中で、
手に大火傷を負ってしまったのです。

かなりの重傷で激痛が走り、しばらくその場で蹲っていた彼の元に
仲間が駆けつけて先日もらった馬の脂肪を塗ってくれました。

何とか意識を取り戻した直江昶氏でしたが、火傷の重症度は高く、
当時の医療技術では治すことも難しいと彼は判断しました。

その時、せっかくなら馬の脂肪を付けて本当に効くのか試してみようと考えたのです。

2ヶ月間試してみた結果、最初は焼け焦げてしまい真っ黒になっていた手の皮が段々剥けてきて、
下から新しい皮膚が作られていました。
さらに指紋まで少しずつ浮き上がってきていたのです。

この結果に直江昶氏は馬油には本当に治癒効果があるのだと感じたようです。
それから1ヶ月後には傷跡すらない状態にまで回復しています。

このことで直江昶氏は馬油の研究を始め、商品化へとつなげていったのです。
この時、初めて「馬油」という名前が使われるようになりました。

「馬油」の成分

馬油は動物性油脂であるため、基本的に脂肪酸で構成されています。

では、どんな脂肪酸で構成されているのでしょうか?
続いては、馬油に含まれる成分についてご紹介していきましょう。

美容の観点からそれぞれの成分について解説していきます。

■オレイン酸

オレイン酸は一価不飽和脂肪酸で、オリーブオイルに含まれていることで有名な脂肪酸です。
オレイン酸は美容面でも有名であり、乳液や美容クリームといった製品にも使われています。
なぜスキンケア用品に使われているかというと、
実はオレイン酸は皮脂腺から分泌されている皮脂を構成している成分でもあり、
約4割はオレイン酸で占めています。

その結果肌と馴染みやすく、潤いが持続されやすいという効果につながっています。

■パルミチン酸

パルミチン酸は飽和脂肪酸の一つです。
飽和脂肪酸というとあまり肌に良くないのでは?と思われるかもしれませんが、
パルミチン酸はビタミンAの働きをサポートするという役割を持っています。
ビタミンAというのは、細胞を活性化させ肌や髪の毛、爪などを新しく生まれ変わらせてくれる
働きを持っていたり、抗酸化作用によってアンチエイジング効果を持っていたりします。

しかし、ビタミンAは不安定で酸化しやすいという弱点があります。
そんな弱点を克服するためにもパルミチン酸が必要なのです。

パルミチン酸によって肌のターンオーバーが正常化され、
若々しい肌を保てるようになります。

■パルミトレイン酸

パルミトレイン酸とは一価不飽和脂肪酸に分類され、パルミチン酸から作られる脂肪酸です。
パルミトレイン酸は赤ちゃんや若い人の肌には多く存在しているのですが、
加齢に伴いどんどん減少してしまいます。

そのため、例えば加齢と共に乾燥肌や敏感肌が気になるようになってきたという方は、
パルミトレイン酸の減少が原因の一つになっているのではないかと考えられます。

パルミトレイン酸を使用すると、肌の奥まで浸透し肌質を柔らかくしてくれる効果が期待できます。

■リノール酸

リノール酸はヒマワリなどの植物油から抽出される脂肪酸で、多価不飽和脂肪酸に分類されます。
肌にとっては角質細胞間にあるセラミドを構成する成分でもあるため、
肌に塗ることで保湿効果や抗炎症作用などが期待できます。

また、リノール酸は肌だけではなく健康にも優れており、
例えば体内の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らしてくれるため、
生活習慣病の予防につながるとされています。

■リノレン酸

リノレン酸は、多価不飽和脂肪酸の一種で体内では作り出せない種類の脂肪酸になります。
リノレン酸はEPAやDHAを作り出す脂肪酸でもあり、
血中の善玉コレステロールを増やす役割を持っています。

血液の状態がよくなればその分新陳代謝の正常化にもつながりますし、
炎症を抑制させる効果が期待できるため、健康的な肌を作り上げることもできます。

「馬油」の効果と特徴

馬油を構成する成分についてご紹介してきましたが、
馬油には人間が体内で生成できない脂肪酸を含んでいたり、
健やかな肌を作るのに必要な成分が含まれていたりと、
美容にも効果的だということが何となく理解いただけたかと思います。

続いては、馬油自体の効果や特徴について解説していきましょう。

■顔・全身に使える保湿剤

肌は、年齢を重ねていくに連れてどんどん水分保持力が低下していき、
いくら化粧水や美容液などで潤いを満たしていてもすぐ抜けていってしまい、
保湿効果が持続されません。

ただ、これは水分保持力が低下しているだけではなく、
実は皮脂量も減っていることが原因と言われています。

肌の皮脂というとあまり良い印象を思い浮かべない方が多いかと思いますが、
それは皮脂が過剰にある時で、
実際は皮脂量が少ないと肌の奥に浸透させた水分がすぐに蒸発していってしまうのです。

そのため肌が乾燥しやすくなり、カサカサ肌となってしまいます。
馬油は不足している分の皮脂を補い、保湿を持続させます。
顔はもちろん、全身のボディークリームにも使えるので便利な保湿剤として活用できるでしょう。

■抗炎症作用&新陳代謝促進作用

「『馬油』とは?」の項目でもご紹介したように、
元々は火傷に効果があるという噂が広まっていました。

馬油が火傷に効果があると言われていたのは、
抗炎症作用と新陳代謝を促進させる作用の2つを持っていたからだと考えられます。
炎症は、何らかの原因で体に異変が起きた時、
免疫機能が働いて異変が起きている部分を排除し、恒常性を保とうとする反応を指します。

どういうことかと言うと、人間には恒常性機能(ホメオスタシス)があり、
常に体温・血圧・血糖値などを保とうとする性質を持っています。

しかし、例えば火傷を負ってしまった箇所はその部分が今までの状態とは異なるため、
その部分を修復しようとするのではなく、早く取り除こうとします。

この時に起きる様々な痛みや赤みといった反応は全て「炎症作用」というものになります。

馬油に含まれている抗炎症作用は、痛みや赤みなどを抑える働きを持っています。

抗炎症作用はケガや病気だけではなく、美容面でも役立ちます。
肌荒れというのは基本的に皮膚で炎症作用が起きている状態です。
それを鎮めてくれるのが、馬油の抗炎症作用になります。

また、抗炎症作用に加えて新陳代謝を促進させる作用を持っているため、
できるだけ早く健康的な肌を作るのに最適です。

人間の皮膚は20代で28日、30代で40日、40代で55日周期で生まれ変わります。
荒れてしまった肌から新しい肌に生まれ変わるためには1~2ヶ月は必要ということです。

しかし、人間は毎日生活している中で受けるストレスや偏った食事、運動不足の影響から
新陳代謝の周期が遅れてしまうことがあります。

そうなってくると肌荒れが長引いてしまい、悪化してしまう可能性が高まってしまうのです。

馬油の新陳代謝促進作用と抗炎症作用によって、美しく健康的な肌のキープを目指せます。

■髪や頭皮にも役立つ

年齢を重ねてくると髪にツヤがなくなり、白髪が増えてきます。
また、抜け毛や薄毛に悩む方は男女問わず多いでしょう。

髪から変化が見えてきますが、
実は頭皮に変化が起きているため髪にもその変化が表れているのです。

女性の場合、30代から頭皮の皮脂量が減り、乾燥が見られるようになります。
頭皮が乾燥している方は、馬油を使って乾燥を防ぐようにすると、
髪にも良い影響を与えてくれるでしょう。

また、逆に頭皮の皮脂が多いという場合でも馬油は使えます。
馬油は毛穴に詰まってしまった皮脂を溶かして落としやすい状態にしてくれます。

そのため、ブラッシング後に馬油をマッサージしながら頭皮に塗り込み、
その後蒸しタオルなどで頭皮の毛穴を柔らかくしてからシャンプーでしっかりと洗い流すと、
頭皮環境の改善につながります。

「馬油」を使ってみた感想


馬油は肌・まつげ・髪・頭皮・爪などあらゆる場所に使えるアイテムです。
マッサージクリーム・ヘアケア・まつげケアとしてなど、様々な使い方があり美容効果も高いです。
最近では人気が上昇しており、中には品切れになっているお店もあります。

では、ここからは実際に私が馬油を使ってみた感想をご紹介しましょう。

■スキンケアに使ってみた感想

保湿力が高く、シミやニキビに効果があると言われているので、
まずスキンケアとして取り入れてみました。

馬油にはクリームタイプと液状タイプがあります。

馬油は熟成させる行程で液体になるものと、常温で固体になるものとがあります。
クリームタイプはスキンケア・ヘアケアには液体というように、
用途によって使い分けしてみましょう。

今回スキンケアに使ってみたのは、クリーム状の無香料のタイプです。

【テクスチャー】
まず手の甲に乗せてみた所、最初はゲルのような柔らかいテクスチャーです。

肌に乗せた後、体温で馬油が温まり、
溶けて透明になって液体状のようなテクスチャーへと変わりました。

馬油は油分が気になる方も多いのではないでしょうか?
しかし、今回使ったクリーム状の馬油は伸びが良く、軽い付け心地が感じられます。
ただ、塗った直後にスマホやパソコンを触ると指紋が付くので注意しましょう。
塗った後、10分後くらいには肌に馴染んで指紋も付かなくなります。

【洗顔後のケアに】
私は、洗顔後のまだ若干湿っている肌に馬油を塗りました。

指の腹で優しく馴染ませるようにして塗ると、
ベタベタせずしっとりとした仕上がりになります。

馬油は塗った後そのままメイクもできますが、
実際にメイクしたときにはメイクのノリも良かったです。

【クレンジングに】
馬油はクレンジングにも使えるので、実際の洗浄力を試してみました。

ファンデーションやアイライナー・口紅などのしっかりメイクでも落ちるのか試してみると、
指の腹でくるくるするだけでどんどんメイクが落ちていったのです。

その後すすぎをしたら、とても綺麗にメイクが落とせただけでなく、
しっとりとした潤いも感じられました。
肌への負担も感じずに優しくメイクオフできます。

■ボディケアに使ってみた感想

【膝や肘など】
ボディケアにも、クリーム状の馬油を使ってみました。

私は膝・肘などが乾燥するのですが、
実際に馬油を適量塗ってみると、1回で潤いが感じられました。
一般的なボディークリームでは、肘のガサガサした乾燥がなかなか改善しません。

馬油は人間の皮脂に似た成分が配合されていると知っていましたが、
ボディケアでは改めて優れた浸透力を実感できたと思います。

お風呂上りにボディークリームを使っている方は、
馬油で代用すると肌が柔らかくなり、潤いもキープできるのではないでしょうか?

【ネイルケア】
ネイルケアには、ネイルオイルを使っているという方も多いのではないでしょうか?

馬油のネイルケアは、柔らかい爪の方や乾燥で割れやすい方に良いと言われています。

私は、爪の生え際ほんの少し馬油を乗せ、爪の表面や指の先に塗り込みました。
すると爪にツヤが出て、甘皮部分もしっとりしました。

特に指先は冬季に乾燥しがちですが、これなら乾燥しらずになれると思います。

■ヘアケアに使ってみた感想

ヘアケアには、液状タイプの馬油を使ってみました。
女性はカラー・パーマ・縮毛矯正などで髪や頭皮がダメージを受けています。
私もカラーとパーマを良くするので、乾燥しがちでパサパサしてしまいます。
馬油は、髪や頭皮の乾燥を防ぎ、枝毛・切れ毛に悩む私にも高い効果がありました。

【テクスチャー】
液状タイプの馬油はオイルのようなテクスチャーで、
手の甲に乗せると油分でコーティングするような感覚がしました。
油分でコーティングと言うとベタベタするのかと思いますが、
浸透性が高いためかベタつきが少なかったです。

【頭皮ケアに】
実際に馬油を頭皮に直接馴染ませてみました。

最初は少なめに馬油を手に取ったのですが、上手く馴染ませられません。
その後、パーツごとに地肌に馴染ませるようもみ込んでいけば効率が良いと気付きました。

頭皮ケアは、指の腹で地肌を優しくマッサージするように行います。
その後は通常通りシャンプー・コンディショナーで仕上げたのですが、
泡立ちは普段と変わらないため、2度洗いしなくて済みました。

マッサージをした後、シャワーキャップで全体を包んで数分経ってから
洗い流すのも良いと思います。

【髪のトリートメントに】
髪を洗った後、洗い流さないトリートメントとして使ってみました。

トリートメントなので使う量は少なめにしましたが、髪や頭皮がベタベタせず正解でした。

多めに馴染ませてしまうと、仕上がりがベタベタになると思います。

私は毛先が特にパサつきがちなので、毛先を中心に馴染ませ、ドライヤーで乾かしました。
馬油は髪を保護する役割も持っているのか、しっとりまとまりのある髪になった気がします。

私は髪が多い方ですが、髪のボリュームが少なく、細くて柔らかい髪質の方は
重たく感じるかもしれません。
そういった方は、ごく少量に留めておいた方が良さそうです。

注意しないといけないこと

馬油は基本的に全身に使え、食べても問題がないと言われています。

しかし、基本的には油分で肌に潤いを閉じ込め保護する役割を持っているので、
オイリー肌の方は使用に注意が必要です。

オイリー肌の方がスキンケアで馬油を取り入れると、
皮脂成分が働きさらに肌の油分量を上げてしまいます。

油分が多くなると、皮脂が詰まりニキビや毛穴トラブルが起こりやすくなるでしょう。

そのため、元々オイリー肌という方は使用には注意が必要です。

ただ、馬油は伸びが良いので、
オイリー肌でも少量試してみて効果や肌の状態を把握するのも方法の1つです。

また、馬油は近年注目されている影響か、新たに参入してくるメーカーも少なくありません。

しかし、メーカーの中には品質の悪い製品を扱っているケースもあるため、
効果が得られない場合もあります。

そうしたケースを避けるためにも、純度100%の馬油を選ぶようにしましょう。
純度100%で香料なども含まれていないものもあるので、
多少値が張ってもそちらを選んで使用すると良いでしょう。

今回は、馬油の特徴や含まれている成分・効果・実際に使ってみた感想などをご紹介してきました。

馬油は人間の皮脂に近い油で、抗菌・殺菌作用も持っています。
そのため、スキンケアやヘアケアなど幅広く使えて、肌が敏感な赤ちゃんにも安心して使用できます。

用途別にクリーム状・液状とで使い分けもできますし、使い方は自分次第です。
乾燥が気になる方は、もちろん、美容に効果がある馬油を使ってみてはいかがでしょうか?